自然界のシロアリの役割と害虫としてのシロアリ

自然界では重要な役割を果たすシロアリ

シロアリの多くは熱帯・亜熱帯地方の森林地帯に集中して分布しており、
枯れた木材や落ち葉などをエサとするなどして、自然のサイクルの中では
不要な倒木の分解者として大切な役割を果たしています。

特に熱帯雨林地方では、シロアリによって作られた網目のようなトンネルが
水分や通気など、より良い土壌条件の改良にとても重要な働きをし、
地球環境という大きな視点で見てみると、なくてはならない益虫と言えるのです。

つまりシロアリは熱帯地方では、非常に重要な分解者として働いているのです。

シロアリは木材の主成分である「セルロース」を栄養とする
数少ない生物であり、枯死植物である倒木などを土に還し森の分解者と呼ばれています。

さらにシロアリは、黒蟻のエサとしても重要な役割を果たしており、
これは植物性たんぱく質を動物性たんぱく質にかえることになり、
自然界の食物連鎖でも必要な生物となっています。

ちなみに温帯では、ミミズが枯死植物を土に還し、
植物がその養分を再利用できるようにするなど分解者としての役割を担っていますが
熱帯ではミミズはそれほど多く生息しておらず、
ミミズの代わりにシロアリが分解者としての役割を果たしていると考えられてきました。

もしもシロアリが全滅し、いなくなってしまったら
生態系のピラミッドは崩れてしまうかもしれないほど重要な役割をもっています。

しかし、自然界では重要な役割を果たしているシロアリも、
人間界では、わたし達の大切な家を蝕む厄介な生物として知られています。

さまざまな世界のシロアリ

自分でエサとなる木を消化することの出来ないシロアリは
腸の中にいくつかの種類の原生動物が共生している等、共生細菌を持つのですが、
それに加えて腸の中の原生生物によって枯死植物を分解する下等シロアリと、
担子菌類（シロアリタケ属）を栽培する事でそれにかえている高等シロアリに大別されます。

このどちらも、シロアリ自身でセルロースを消化して養分を吸収する事ができませんが、
下等シロアリは腸内の共生原生生物の力を借りて、
高等シロアリは担子菌類に分解させる事で、養分を吸収出来るまで分解させているようです。

世界で現在２８００種類以上確認されているシロアリは、
同じ種類であっても巣の形態や性質など多種多様なシロアリが存在しています。
その世界中のシロアリの約75％は、高等シロアリとされています。

キノコを栽培するシロアリ

アフリカやアジアの熱帯地方には「キノコシロアリ」と呼ばれるシロアリがいます。

世界中の高等シロアリの中の「キノコシロアリ」と呼ばれるシロアリは、
キノコシロアリ亜科に含まれるものの総称です。

キノコシロアリは、巣の内部でシロアリタケ属(キノコ)を栽培しています。
腸の中に共生原生生物を持たないシロアリの中には
キノコを栽培する能力を持っているものが存在します。

キノコシロアリは枯葉や枯れ木など枯死植物をエサとしていますが
ほとんど未消化のままお尻から排出し、
それを使い菌園(きんえん)と呼ばれる菌床をつくります。
その菌園の上に特殊な菌類を植え付けます。
キノコシロアリは、菌によって分解された菌園や、菌糸を食べます。
そこからシロアリがいなくなるとキノコが生えてくるということです。

このキノコシロアリによって栽培されたシロアリタケは非常に美味しいようで
実は日本でも食材として持ち込まれた説があるようです。

キノコシロアリは、日本でも沖縄の西表島、石垣島など
八重山諸島と沖縄本島に分布しているようで、
地元では高級食材だと言われています。

琉球王朝時代にキノコシロアリにシロアリタケを育てさせ、
シロアリタケを得るためにキノコシロアリが持ち込まれた可能性があるようです。
古文書には書かれていない交易などがあったのかもしれませんね。

害虫としてのシロアリ

世界中に分布するシロアリの体長は最大でも２０ｍｍ程度。
日本で広く分布するヤマトシロアリにいたっては３～５ｍｍと非常に小さい生物です。

ヤマトシロアリ・ヤマトシロアリの羽アリ写真

しかし、その小さなシロアリは家の木材を蝕むというイメージ通りの
非常に多くの被害をもたらしています。

日本では年間約１０００億円のシロアリ被害にともなう費用が発生しており
世界中でみてもアメリカ合衆国が年間約２４００億円、
中国でも年間約１２００億円の被害が発生しています。

森の中では分解者としての重要な役割を担っているシロアリですが
木材をエサとするシロアリは、わたし達人間の住宅を食害することで
「害虫」として人々に嫌われる存在になっていきました。

しかし、シロアリは早期発見さえできれば過剰に恐れる必要はないと考えています。

もちろん被害箇所や、普段からのメンテナンスを怠っていた場合などにより
一概には言えませんが、やはり日常的に点検を行い
シロアリ被害を早期発見することこそが、一番のシロアリ対策になります。

現在ではシロアリに強いとされる建材や、
シロアリに効果的な薬剤の開発などがされていますが、相手は生き物です。

小さな生き物ですが、シロアリは数億年の歴史を持つといわれる昆虫です。
長い歴史の中で生き抜いてきたシロアリは、
変化し続ける環境、建物構造、建材に対して今後も順応していくことでしょう。

⇊こちらの動画をご覧ください

シロアリによって、床下の構造材がスカスカになっているのが分かると思います。
シロアリの被害にあっているのに気付かず、放置していると
大きな地震がきた場合など、家が非常に危険な状態となってしまいます。

日本でのシロアリ被害のほとんどはヤマトシロアリとイエシロアリによるものですが
この２種類のシロアリは土壌性で、エサとなる木材へ辿り着くまでにある
コンクリートやケーブルなど邪魔なものをかじりながらエサ場まで進みます。

また、シロアリは木を食べる生き物なので
「コンクリート住宅だから大丈夫」「マンション・アパートだし大丈夫」と、
思われている方もいるかもしれません。

そんなことはありません！！
ほとんど木材を使っていないと思われる構造の建物は
シロアリの被害にあわないと思っている方が多いと思いますが間違いです。

実は、軽量鉄骨造やマンションでも木材を使用している部分はあるため
シロアリの被害とは無縁なわけではないのです。

実際にマンションでも、台所や浴室と言った湿気の多い場所は
シロアリの好む場所となり住みつくこともありますし
マンション周辺や敷地内に木の切り株や木製型の枠、板などがある場合は
それをエサとしてシロアリが発生する場合もあります。

床下がないマンションなどは、地中からコンクリートのわずかな隙間や
クラック(ひび割れ)がある部分から簡単に侵入してくることがあります。

羽アリの発生や、柱を叩くと空洞音がするなど
シロアリ被害の兆候に気付いた場合や、一度も点検をうけていないお宅は
一度点検をうけてみることをオススメします！

（株）プログラントではお客様第一主義としています。
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点検についてはシロアリ防除の資格保有者がお伺い致します。
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